小説、物語の書き出しってどう書く?
FBでの話題、森くまちゃんの記事で、素敵な同人の集まりのお話がありました。そのおひとりに、「書き出しに悩んだ時は、いつも、『今日も晴れです』と、書き出します」という方が……!
その話が面白すぎて、ついつい、自分の書き出しや売れっ子作家さんの書き出しをしらべてみました。まず、拙作から。
「れんげ畑の向こうから、白いレースのパラソルが泳いでくるみたいに見えた」『風のラヴソング』
うーん、これは、晴れた空に近いかも。
「その日は、ずっと釣れなかった」
『竜神七子の冒険』
この書き出しは、空は晴れてても、行動的に暗い書き出しかも。
でも、この物語のコンセプトは、超明るい「人生は、逆転満塁ホームラン!」です。
「桜が咲き始めると、京都の夜は、ほのかに明るくなる」
『あした、出会った少年』
これは、しなだれる満開の桜のかもしだす空気感と、闇に浮かぶほの白い花明りの情景描写で始めてますが、晴れるどころか、夜景です。
じゃ、ミステリーのベストセラー作家さんたちはどんな書き出しを?
「胸の谷間にライターをはさんだバニーガールを追いかけているうちに、見知らぬ国にたどり着く、そんな夢を見ていた」伊坂幸太郎さん『オーデュボンの祈り』
「予感めいたものなど、何ひとつなかった」
東野圭吾さん『秘密』
「最初はそんなこと、誰も信じていなかった」
宮部みゆきさん『ブレーブストーリー』
さすがに、ミステリー作家さんたち、一行目から謎めいた書き出しです。
じゃ、ヤングアダルト系は?
「さっきから、まるで校舎をたてにゆさぶるばかりに雨が降っている」
天沢退二郎さん『光車よ、まわれ!』
これは完全にどしゃぶり。
「彼岸には墓参りの人たちでにぎわう霊園も、今朝はひっそりしていた」
藤野恵美さん『ハルさん』
な、な、墓参りとな!?
「漆黒の闇、だった」
小野不由美さん『十二国記』
闇……しかも、漆黒!
「西の魔女が死んだ」
梨木香歩さん『西の魔女が死んだ』
いきなり、お亡くなりに……
つまり、晴れた本はそんなにないのかな?
あ、ありました!
「空は真っ青に晴れ渡っていた」
風野潮さん『マジカル・ドロップス』
というわけで、空の晴れ渡り度は低いけれども、書き出しポイントは、みんな、面白いです。
晴れた、降った、明るい、暗いなど…物語を象徴する簡潔な情景的書き出しと、思った、見たなど、行動的描写で始まっているのが、プロの書き出しみたいです〜